聴覚障害を持つ方が、障害者雇用で働く前に知っておきたいことをまとめてみました。
聴覚障害の就業率は健常者とほぼ同じ
とあるデータで聴覚障害を持つ人の就業率(働いている人の割合)は、約20%というものがあります。
これは聴覚障害は年を取ってから障害を持つ人が多いので、約77%は60歳以上という理由があるからです。
別の調査結果を見てみると、20~59歳の聴覚または言語障害を持つ人の就業率は約75%というデータが出ています。
18~59歳の全人口の就業率は80%弱と言われているので、聴覚障害を持つ人の就業率は健常者とほぼ同じです。
聴覚障害者は就労を希望すれば、障害者雇用でそれなりに良い条件・環境で働けるので、障害者手帳を持つ人の中でも就業率はかなり高いんです。
平均年収も約300万円
三菱UFJリサーチ&コンサルティングのデータによると、障害者雇用で働く聴覚障害者の平均年収は、アルバイトや時短勤務を含めた値でも約300万円です。
障害者雇用で働く人の平均年収は、正規雇用のみのデータでも約200~250万と言われているので、聴覚障害者の平均年収はかなり高い方と言えるでしょう。
聴覚障害者は、障害者雇用でかなり有利
まずはじめに、障害者雇用の市場において、一般的に有利と言われている『内部障害者』『下肢障害者』と同じぐらい有利で、「雇いたい」と思っている企業が非常に多いです。
特に補聴器などを使用すれば会話ができる人は、めちゃくちゃ有利。
聞き取りでの会話が難しくても、筆談などの方法でコミュニケーションが取れるのであれば、障害者雇用の市場では有利な方です。
聴覚障害の方に向いている・出来るおすすめの仕事は?
聴覚障害の方に人気の職業は事務職です。
聴覚障害の場合は、希望すれば基本的にはほとんどの職業で働くことができます。
聴覚障害の方に向いていない・不利な仕事
聴覚障害の方に向いていない・不利な仕事は『危険が伴う現場』や『接客が多い仕事』です。
『危険が伴う現場』 は、工場や建設現場での作業。
『接客が多い仕事』 は、飲食店などのサービス業などですね。
「危険を音で判断しずらい」「会話にハンデがある」という聴覚障害の方は、こういった企業への就職は不利です。
しかし、どちらも上手く配慮を受けて、働いている人もいるので、どうしても働きたい職業があるなら諦めることはありません。
例えば、危険を知らせるブザーを音だけではなく点灯するようにし、非常時には知らせるための担当者を配置して、工場などで働く人もいます。
接客業では『聴覚障害があります』とバッジを着用して接客している人もいます。
キャリア形成は少し不利に
聞こえ方や会社の方針にもよりますが、聴覚障害の方はコミュニケーションに時間がかかったり制限があることで、課長や部長など人に指示する立場にキャリアアップする難易度は高くなります。
昇進や給料アップを目指す人は職業選びや会社と話し合いをしっかり重ねていきましょう。
IT系の専門職で高収入を稼ぐ人が多い
聴覚障害を持つ方で、プログラマーやWEBデザイナーなどのパソコンを使ったIT系専門職で活躍する人も多くいます。
専門的な技術のいる職業にはなりますが、ある程度の技術さえ身につければ年収500万以上稼ぐ人も珍しくありません。
働く上で注意すること
聴覚障害の方が働く上で最も注意したいのは『聞き間違い』や『聞き逃し』によるミス。
補聴器を使用したり、はっきり話すことである程度聞こえる場合でも、聞き間違いによるミスが発生することがあります。
- 重要な連絡は口頭ではなく筆談やメールで伝えてもらう
- 聞いた話を復唱し、間違いがないか確認する
などの方法を使って、間違いがないようにしましょう。
1対1でのコミュニケーションは筆談で行っている人でも「全体に口頭で伝えた指示が伝わっていなかった」というケースも。
周りに配慮を求めることも大切ですが、自分でもしっかり確認をとってミスを防いでいきましょう。
どんな配慮が必要?
聴覚障害を持ちながら働く人が受けている配慮の実例です。
- 災害や緊急時の警報が鳴った場合は知らせてほしい
- アラームではなく警告灯で危険を知らせる設備がほしい
- 音で人の気配を感じにくいので、曲がり角に衝突防止用のミラーを設置してほしい
- 更衣室でのノックの音に気づけないから使用中の札を下げたい
- 補聴器の故障の原因になりやすい高温、低温の環境での業務は外してほしい
- 電話を使用する業務は外してほしい
- 朝礼の内容を書き起こして教えてほしい
- 全体に向けて口頭であったお知らせを教えてくれる担当者が欲しい
- 聴覚障害があることがお客さんにわかるバッジをつけて接客をしたい
- 数字を伝えるときは、声だけでなく、指で数字を作ってほしい
- ほとんど聞き取れないので、コミュニケーションは筆談やメールを使用したい
- 重要なやりとりはミスのないよう筆談やメールを使用したい
- 複数人での会話が聞き取りずらいので、なるべく1対1で話したい
- ゆっくり、はっきり、大きな声で聞き取りやすいように会話してほしい
- 聞こえやすい側から話しかけてほしい
- 本人が手話教室を開き、周りの人に簡単な手話を理解してもらいたい
- 「聞こえないから」と肩を叩くと驚くので、話しかけるときはまず視界に入ってほしい
- 口話で会話を読み取るので、会話時にはなるべくマスクをしないでほしい
- 話をする時は目を見て、はっきり口を動かしてほしい
- 複数人で会話をしている時は会話のリズムに乗りにくいので、意見を言いやすいようにタイミングを作って欲しい
- ざわざわした場所では声を聞き取れないので、飲み会には無理に誘わないでほしい
- 研修や会議に参加する時に手話通訳者や要約筆記者を同席させたい
面接で聞かれること、伝えるべきこと
聴覚障害を持つ方が就職の面接を受けた時、まず聞かれるのは「どの程度聞こえるのか」「どのようにコミュニケーションを取れば良いのか」という点です。
企業側の人は障害に関する知識があるわけではないので、「~デジベル程度」「聴覚障害○級」といった説明だけでは上手く伝わりません。
- 補聴器をつければ日常の会話はほとんど問題ない
- ゆっくり、はっきり話せば聞き取れる
- 音だけでははっきり聞き取れないが、口話も使えば聞き取れる
- 静かな環境なら会話できるが、ざわざわしていると聞き取れない
- 音には反応できるけど、しっかり会話することは難しい
- 音に反応することも難しい
といった、具体的な例で伝えましょう。
可能であれば、面接時や面接前に平常時のオフィスを見学させてもらってどの程度聞こえるのか確認して伝えると、お互いにとって安心です。
また、会話が難しい部分をどのように補いたいのかも、具体的に伝えた方が良いです。
- 筆談用のボードを使って筆談したい
- 紙とペンを使って筆談したい
- メールやチャットツールを使いたい
といった、自分の希望するコミュニケーション方法を企業に提案していきましょう。
また、体調・天気・気圧などによって聞こえ方にむらがある場合は、日によってどの程度変わるのかを言い、調子が悪い日は伝えられる環境を作ると働きやすくなります。
聴覚障害の人の仕事探しのやり方
聴覚障害の人におすすめの仕事探しのやり方は就職・転職エージェント。
聴覚障害の方を求めている企業は非常に多いので、かなり有利な条件で仕事を探していくことができます。
電話での連絡が難しければ、メールで話を進めることができます。
エージェントによっては、面談時に手話のできるスタッフがいたり、就職の面接時に手話通訳のできるスタッフが同行してくれることもあります。
聴覚障害に対応した就職エージェント
💡好条件・高収入の仕事探しのコツ:サイトごとに取り扱っている求人が異なります。お住まいの地域に対応した2~3社にまとめて登録しておくと、より多くの求人が紹介され、良い条件でのお仕事が見つかりやすくなります。
特にいまはオンラインでの面談を積極的に行ってくれるので、お仕事探しのチャンスです。
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