- 「障害者雇用で仕事をしたいけど、いじめに合わないか心配」
- 「障害者雇用で働いているけど、いじめに合っている」
- 「職場で差別されているような気がする」
などなど、障害者雇用で働く人・働きたい人にとっていじめは深刻な問題です。
この記事では
- 障害者雇用でのいじめって実際どのぐらい起きているの?
- いじめに合わない仕事探しのコツは?
- 障害者雇用でいじめに合ったらどうすれば良い?
など、障害者雇用でのいじめ・差別・パワハラのデータや対処法を紹介しています。
データで見る障害者雇用のいじめ発生数
厚生労働省が「平成30年度使用者による障害者虐待の状況等」のというデータを出しています。
平成30年度に届け出があった件数は全国で1942件。前年度の2454件より20.9%減少しています。
また、虐待種別のデータは以下のようになっています。
およそ半数が経済的虐待。つまりお金関係のトラブルです。
いわゆる「いじめ」というのは心理的虐待、身体的虐待が主なので、発生件数は全国で約1000件となっています。
参考:厚生労働省・平成30年度使用者による障害者虐待の状況等
ハイリ
もちろんこれはあくまでも「データ」。本人や周りからの通報があったケースのみなので、実際のいじめや差別はこれ以上に発生しています。
障害者雇用っていじめが多いの?
ハイリ
障害者雇用でのいじめの発生率は、多くの人が思っているほど多くはありません。
この記事を読んでいる人は「障害者雇用 いじめ」「障害者雇用 差別」などのキーワードで検索することが多いのではないでしょうか。
いじめや差別関係のキーワードで検索をしてしまうと、当然そういった話ばかり目にすることになります。
また「いじめはなく、良い環境で働いている」という声より「障害者雇用でいじめにあった」という声の方が目立つので、障害者雇用=いじめというイメージも強くなっています。
ただ「障害者雇用ではいじめは一切ない」というわけではなく、運や探し方、職場の人次第ではいじめが発生してしまうケースも。
障害を持たない人に比べても、いじめや差別は起きやすい傾向にあります。
ただし、怒鳴られたり長時間の残業を強いられるなどの「パワハラ」に関しては、さすがに健常者よりも少ないです。
障害者雇用は法的には守られている
2016年4月に作られた改正障害者雇用促進法には以下のような項目があります。
- 事業主は労働者の障害の有無に関わらず、賃金、教育訓練、福利厚生などの待遇を均等に与えなければならない
- 募集又は採用に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を与えてはいけない
- 事業主や他の労働者が、障害の特性に関する正しい知識の取得や理解を深めることが重要
ハイリ
ざっくり解説すると「障害を理由に(合理的配慮によるものを除いて)、給料、待遇、仕事内容などを他の社員と変えちゃいけないよ~。働きやすいように配慮してあげてね~。差別やいじめもダメだよ~。」という法律です。
また、障害雇用の労働についてさまざまな機関から、適正な状態にあるのかを監視されています。
つまり障害者雇用で働く人をいじめてる会社は【もし証拠を抑えられて通報されたら社会的にヤバい立ち位置】になるんです。
ちゃんとした会社だとこのことを解っているので、障害者へのいじめ・差別・パワハラについてはかなり厳しく取り締まります。
いじめに合わない仕事探しのコツ
いちばんおすすめの方法は、障害者向けの就職・転職エージェント経由での就職。
エージェント経由で就職すると、会社は採用するために、エージェント側に何十万もの紹介料を払っています。
お金をかけて採用した人材が、いじめが原因で辞めてしまうと会社にも大きな損害が。
つまり、上層部や人事の人が「いじめは許さない」という姿勢を持ちやすく、いじめが発生しにくい環境になります。
逆にハローワークや自社サイトからの応募だとお金がかかってないので「辞めてもどうせ次入れればいいや~」という意識の企業が多く、いじめの発生率が高いです。
また、就労移行支援経由での就職も
- 職場探しの時点で、就労移行支援の事業所が職場の良し悪しをある程度判断してくれる
- 就職後も何かあれば事業所を頼れる場合がある
ので、いじめは発生しにくくなります。
クローズ or 障害者雇用 いじめが少ないのはどっち?
目に見えない障害の場合、クローズで(障害があることを隠して)働くという選択肢もあります。
ハイリ
あくまでも私がみてきた体感でですが、障害者雇用で働くよりもクローズで働いた方がいじめの発生率が高いように感じます。
障害者雇用で採用された場合、他の社員は「この人は障害者雇用だから、配慮してあげなきゃいけない。いじめるといろいろマズイよね」という心理が働きます。
クローズで採用された場合は「この人なんか苦手だな~。仲間はずれにしてやろう」と思われていじめになることが。
特に発達障害の人がクローズで働いた場合、どうしてもコミュニケーションで失敗してしまい、悪い印象を受けてしまいがちです。
いじめを避けて働くなら、障害者雇用で採用されたほうが安定です。
大企業or中小企業 いじめが少ないのはどっち?
こちらも「平成30年度使用者による障害者虐待の状況等」でデータが出ています。
虐待にあった障害者のうち、50%以上が従業員数30人未満の企業で働いています。
一方で、従業員数1000人以上の企業で発生した虐待は2件のみ。
ハイリ
つまり、中小企業よりも大企業の方が、圧倒的にいじめの件数は少ないのです。
これっていじめ?と悩んだら
- 嫌なことを言われた
- SNSで悪口を書かれている
- 自分だけミーティングや会議に参加させてもらえない
- 雑用ばかりでやりたい仕事をさせてもらえない
- 社内で孤立している気がする
- 飲み会やランチに自分だけ誘われなかった
などなど「これっていじめ?」と感じたら、まずは第三者の意見を聞いてみることが大切。
本人がいじめだと感じたら、8~9割はいじめだと思います。
でもちょっとしたすれ違いの人間関係のねじれで、接し方や働き方を少し変えるだけで収まるケースも。
例えば「やりたい仕事をさせてもらえない」と感じていたけれど、会社側は「難しい仕事を任せると負担になるかも。簡単な仕事を回してあげよう」と思っているケースもあります。
他にも「休憩中に孤立させられ、飲み会にも誘ってもらえない」と感じていたけれど、会社側は「コミュニーケーションが苦手だと言っていたから、仕事で必要な会話以外はしちゃいけないかな?」と思っているケースもあります。
いきなり「いじめだ!」という考えで喧嘩腰になるのではなく、まずは第三者に相談してみましょう。
障害者虐待にあたる具体例
- 経済的虐待:賃金を払わない、不当に賃金を下げる、許可なく最低賃金以下で雇用する、他の従業員と比べて差別するなど
- 心理的虐待:暴言を浴びせる、仲間はずれにする、無視する、悪口を言うなど
- 身体的虐待:暴力をふるう、閉じ込める、食事や水分をとらせないなど
- 性的虐待:不必要に身体をさわる、わいせつな会話をする、性的な関係を強要するなど
※障害者虐待の種類には放置などによる虐待がありますが、障害者雇用の場合は該当するケースはほぼないでしょう。
いじめが起きたときの相談先・通報先・対処方法
「いじめられた!通報してやろう」と考えている方は一度落ち着いてください。
ハイリ
通報は最終手段です。いちど通報してしまうと、けっこう大ごとになり、逆に会社に居づらくなることもあります。まずは「相談」から始めるのがベストです。
まず社内にパワハラ相談窓口などが設置されている場合があるので、そちらを確認してみましょう。
社内のことは社内で解決できるのがベストです。
転職エージェントや就労移行支援を経由して採用された場合は、まずはそこも相談できます。
特に就労後すぐの場合は対処してもらえる可能性が高いです。ただしすでに数年経っている場合は、難しいかもしれません。
社内や採用時の仲介先で相談できなかった場合は、主治医や都道府県の障害者相談窓口などがあります。
通報の場合は、「労働局」や市町村の「障害者虐待防止センター」や「都道府県の障害者権利擁護センター」などが通報先です。
いじめが酷いなら、さっさと会社を変えてしまうのがベスト
一度いじめが起きて、人間関係が崩れていると修復するのは難しいです。
いじめがなくなったとしても、なんとなく気まずい空気で働き続けることになります。
大きな企業だと配属替えなどで対応してもらえる場合もありますが、会社の規模や規定次第ではそうはいきません。
正直、いじめが酷いのであれば、会社をチェンジしてしまうのがベスト。
無理して続けていても障害の状態が悪化してしまうこともあるので、さっさと会社を変えてしまいましょう。
また、会社を変えるには、次の仕事を探さなければいけません。
とはいっても、働いたり退職の手続きをしながら仕事を探すのは大変ですよね・・。
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