障害を持つ人を『障害者枠』として雇用する企業には「障害に応じた合理的な配慮をすること」が義務付けられています。
今回は、障害者雇用で働く前に知っておきたい合理的な配慮の交渉のコツや事例を紹介していきます。
個人で『合理的な配慮』の交渉は難しい
大前提として、身体的なものを除き、個人で合理的な配慮の交渉を進めるのはかなり難しいです。
※身体的な事情による配慮(車通勤の許可、投薬時間の確保など)はある程度個人で進めることも可能です。
配慮を求めすぎると「わがまま」と思われたり、遠慮して交渉が足りないと働きにくい環境になります。
なので障害者雇用で合理的配慮を受ける交渉のコツはこの2点。
- 入社前にしっかり交渉しておく
 - しっかりサポートしてくれる人を挟む
 
まず、合理的配慮の交渉を行うのは『内定前』『面接』の段階です。
入社後に働いてみて必要性に気付いたことに関しては仕方ありませんが、基本は先に言っておく必要があります。
配慮に関する交渉は個人と会社で行うのではなく、サポートしてくれる人と相談しながら進めましょう。
おすすめなのは障害者向けエージェント経由での就職活動。
エージェントのスタッフが『どのような配慮を交渉するか』を一緒に考え『企業との間に入って交渉する』ところを代行してくれます。
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配慮を求めるとわがままになる?
合理的配慮でよく聞くのが「配慮を受けるのはわがままだ」という話。
コレに関しては、配慮の内容によるかなぁと思います。
- 障害によりどうしても必要なこと
 - その配慮を受けなければ働くことができないもの
 - その配慮を受けなければ業務に大きな支障が出ること
 - 業務や周りに与える影響が小さいこと
 
服薬時間の確保、備品や設備の軽い調整、筆談でのやりとり、耳栓やサングラスの許可など
に関しては、わがままではなく『合理的配慮』としてすぐに受け入れられやすいです。
一方で
- 働きやすい環境を作るために求めること
 - 会社や他の社員の負担が大きいこと
 
業務量の軽減、勤務時間や休みの調整、自由に休みたい、移動時に毎回介助が欲しい、社内の人に手話を覚えてほしい、コミュニケーションの配慮など
に関しては配慮の内容や交渉方法によっては「わがままだ」「優遇されすぎ」「どう配慮して良いかわからない」とトラブルの原因になることも・・・。
伝え方、配慮の度合い、理由の説明をしっかり考えて、交渉を行っていく必要があります。
わがままにならない交渉例
『働きやすい環境を作るため』の配慮は、求めすぎると「わがまま」として不採用になったり、入社後に社内での人間関係が悪くなる原因になることも。
配慮を求める場合は、交渉のやり方を考えて、どうしても必要な1~3つぐらいに絞るのが良いでしょう。
- ミスをしても怒らないで欲しい⇒強く怒られると対応できないので、注意するときも落ち着いて話をして欲しい
 - 手話を覚えてほしい⇒よく使う簡単な手話を自分が教えるので、身近な社員は可能な範囲で覚えて欲しい
 - 通院のために月2回の休みが欲しい⇒通院のために月2回・午前中だけ有給を取る調整をして欲しい
 - 疲れたときは自由に休ませて欲しい⇒午前と午後に1回ずつ、15分ほどひとりで休む時間が欲しい
 
合理的な配慮の事例
実例なので通った人があるものですが、あまり求めすぎると「わがまま」と思われる可能性もあるので注意しましょう。
設備・環境に関する配慮
- 机や椅子の高さを調整したい(身体障害)
 - 机や自分がよく使う設備の位置を入り口から近くして欲しい(身体障害)
 - 車での通勤を許可してほしい(身体障害)
 - 移動用の手すりをつけてほしい(身体障害)
 - 来客用エレベーターの使用を許可してほしい(身体障害)
 - 更衣室での着替えが難しいので、自宅から制服を着用してくることを認めてほしい(身体障害)
 - 盲導犬、聴導犬、介助犬を連れて出社したい(身体障害)
 - オストメイト対応のトイレがほしい(内部障害)
 - 車椅子でも通れる通路を確保してほしい(下肢障害)
 - 車椅子で乗り降りできる駐車場を確保してほしい(下肢障害)
 - 入り口に近い駐車場に優先的に止めさせてほしい(下肢障害)
 - ドアの開閉をなるべくサポートしてほしい(下肢障害)
 - 段差にスロープを設置してほしい(下肢障害)
 - エレベーターの開閉時間の設定を長くしてほしい(下肢障害)
 - トイレなどの設備を車椅子でも利用できるように改修してほしい(下肢障害)
 - 高いところにあるものを取るときに協力してほしい(下肢障害)
 - 移動に時間がかかることを理解してほしい(下肢障害)
 - 音声読み上げソフトを使用したい(視覚障害)
 - 日常的に使う備品の位置をわかりやすくしてほしい(視覚障害)
 - 見えにくい色があることを把握してほしい(視覚障害)
 - 面接時~入社後慣れるまでは、駅から会社まで案内してくれる人が欲しい(視覚障害)
 - 凹凸を貼って備品や設備の位置をわかるようにしたい(視覚障害)
 - 白杖を利用できるように社内のレイアウトを調整してほしい(視覚障害)
 - 転びやすいものを床におかないで欲しい(視覚障害)
 - 節電のための消灯を行わず、電気は常につけていてほしい(視覚障害)
 - 災害や緊急時の警報が鳴った場合は知らせてほしい(聴覚障害)
 - アラームではなく警告灯で危険を知らせる設備がほしい(聴覚障害)
 - 更衣室でのノックの音に気づけないから使用中の札を下げたい(聴覚障害)
 - ペースメーカに影響がありそうな電子機器には近づかないようにしたい(内部障害)
 - ついたてのある集中しやすい作業スペースがほしい(発達障害)
 - ひとりで作業するときは耳栓を使用したい(発達障害)
 - 感覚過敏があるのでサングラスの着用を許可してほしい(発達障害)
 - 最初は勤務時間を短くして、徐々に慣れていきたい
 - 制服以外に、体温調整ができる服装での勤務を認めてほしい
 - 個人用の冷暖房器具の使用を認めてほしい
 - 休憩室を設置してほしい
 - ひとりになれる休憩スペースがほしい
 - 横になって休める休憩スペースが欲しい
 
障害により必要な設備を会社が導入する場合、国から助成金が出ることがあります。
そのため、費用がかかる設備の改修でも、交渉してみれば通るパターンは多いです。
業務・勤務形態に関する配慮
- 移動や運動の少ない業務を割り当ててほしい(身体障害)
 - 高温、低温になる場所での作業を避けたい(身体障害)
 - 本来立って行う業務を座って行うことを許可してほしい(下肢障害)
 - 文字を読むのに時間がかかることを理解してほしい(視覚障害)
 - 聴覚障害があることがお客さんにわかるバッジをつけて接客をしたい(聴覚障害)
 - トイレ掃除など細菌感染の可能性のある業務は避けたい(内部障害)
 - 透析のスケジュールに合わせた勤務時間で働きたい(内部障害)
 - 業務内容のわかりやすいマニュアルがほしい (発達障害・知的障害)
 - 業務内容をわかりやすく指示してほしい(発達障害・知的障害)
 - 一度に大きなノルマを与えず、こまめに指示してほしい(精神障害・発達障害・知的障害)
 - 最初は業務の負担を少なくして、徐々に慣れていきたい(精神障害・発達障害・知的障害)
 - マニュアルにふりがなをつけてほしい(知的障害)
 - 指示はひとつずつ行い、終わってから次の指示を出してほしい(発達障害・知的障害)
 - チェックシートを作り、確認しながら業務をしたい (発達障害・知的障害)
 - 社外の人と関わる業務は避けたい(精神障害・発達障害・知的障害)
 - 新しい内容の仕事があるときは、事前に伝えてもらって心の準備をしたい(精神障害・発達障害・知的障害)
 - 厳しいノルマを課さないでほしい
 - 通勤時間が少ない場所に配属してほしい
 - 危険が伴う業務は避けたい
 - 単純な作業を割り当ててほしい
 - 在宅勤務を認めてほしい
 - 電話を使った業務は外してほしい
 - 転勤はないようにしてほしい
 
業務・勤務形態に関する配慮を受け、他の社員に比べて業務の負担が軽減されている場合、それを理由に給料が低くなる可能性はあります。
勤務時間・休暇に関する配慮
- その日の体調に合わせて休暇や遅刻・早退を認めて欲しい(精神障害)
 - 強い悪天候時は安全のために出社を見合わせたい(身体障害)
 - 日没前に帰宅できる勤務時間にしたい(視覚障害)
 - 有給休暇を1時間単位で取得させてほしい
 - 1時間の休み時間を30分・15分・15分に分割してとりたい
 - 通院のための休暇・遅刻・早退を許可してほしい
 - 通院に合わせたシフト調整をしてほしい
 - 通院の日はフレックスタイム制で働きたい
 - 器具の付け替えなどによる長期入院の休暇がほしい
 - 残業は極力ないようにしたい
 - 夜勤のある職場だけど、日勤のみで働きたい
 - 電車のラッシュに重ならないように通勤時間を調整したい
 - こまめに休憩をとりたい
 - 連続勤務が少なくなるようにシフトを調整してほしい
 - 生活リズムが整いやすいよう、シフトではなく勤務する曜日と時間を固定にしてほしい
 - ひとりで落ち着いて休憩できるよう、他の人と休憩時間をずらしたい
 
勤務時間や休暇に関する配慮を受け、 他の社員に比べて1ヶ月の労働時間が短い場合、 それを理由に給料が低くなる可能性はあります。
コミュニケーションに関する配慮
- ほとんど聞き取れないので、コミュニケーションは筆談やメールを使用したい(聴覚障害)
 - 重要なやりとりはミスのないよう筆談やメールを使用したい(聴覚障害)
 - ゆっくり、はっきり、聞き取りやすいように会話してほしい(聴覚障害)
 - 聞こえやすい側から話しかけてほしい(聴覚障害)
 - 本人が手話教室を開き、周りの人に簡単な手話を理解してもらいたい(聴覚障害)
 - 感情的にならずに、落ち着いたトーンで話してほしい(精神障害・発達障害)
 - 複数の人から指示をせず、指示をする担当者を決めてほしい (精神障害・発達障害・知的障害)
 - 疲れているように見えたときは声をかけてほしい
 - 障害があることを、知らせる必要がある人以外には言わないでほしい
 - 障害があって配慮が必要なことを、社内の人にしっかり知らせてほしい
 - 困った時に相談できる担当者を社内で決めてほしい (精神障害・発達障害・知的障害)
 - 直属の上司や先輩など、コミュニケーションを取る頻度が多い相手は同性が良い (精神障害・発達障害・知的障害)
 - 声をかけるときは最初に名乗ってから話してほしい(視覚障害)
 - なにかを教わった時、メモをしっかりとれる時間がほしい(知的障害)
 - 他の社員が障害の特性を理解するための研修を開いてほしい (精神障害・発達障害・知的障害)
 
面接時の配慮
- 入社前の説明会を実施してほしい
 - 入社時の筆記試験の時間を長めにとってほしい
 - 面接時に手話の通訳者を同行させてほしい(聴覚障害)
 - 筆談で面接したい(聴覚障害)
 - 履歴書をパソコンで作成することを認めてほしい
 - 面接に支援員、ジョブコーチ、家族などを同席させてほしい
 - 事前に社内の様子を見学したい
 - 集団ではなく個別で面接をしてほしい
 
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