障害が持つ人が働く場としてよく聞く言葉に『作業所(共同作業所)』『授産所(授産施設)』といったものがあります。
どちらも「障害を持つ人が働いてお金を得る場」のことを指すのですが、いったいどのような場所で、いくらの給料を貰い、どんな働き方をするのでしょうか。
この記事では障害者が働く場について解説しています。
作業所(共同作業所)とは
「障害を持つ人が働いてお金を得る場」を幅広く指す言葉です。
授産所(授産施設)とは
政府機関や社会福祉法人によって運営される施設のこと。
入所者の労働に対して工賃が支払われる。雇用契約を結んだ給料ではないため、最低賃金は保証されません。
労働自体も簡単で収益性が低いものなので、受け取れる工賃はごくわずかです。
お金を稼ぐことよりも、安定した出勤や労働が難しいと判断された人の社会参加や訓練の目的が強い施設です。
現在は「作業所」「授産所」といった呼び方をしない
2005年に設立された障害者自立支援法(2012年に障害者総合支援法に改名)により、現在は「作業所」「授産所」といった呼び方はしなくなりました。
現在は『就労移行支援』という名称で『A型事業所』『B型事業所』の2種類が運営されています。
正式名称は変更されていますが、今でも会話の中で『作業所』『授産所』という言葉は時々使われます。
その言葉を聞いた場合は
- 作業所・・・就労移行支援A型、B型の両方またはいずれか
- 授産所・・・就労移行支援B型
を指しているんだと思っておけばOKです。
就労継続支援A型事業所とは
助成金を受ける一般企業と利用者が雇用契約を結び、毎日出勤して働く場です。
お給料は、都道府県の最低賃金(時給)が保証されます。
受け取る賃金分の労働を行う必要があるため、誰でも通えるわけではありません。
実習や面接を行い、仕事をこなすことが難しいと判断されると不採用になる可能性
就労継続支援B型作業所とは
助成金を受ける一般企業と利用者が雇用契約を結ばずに、自分のペースで出勤して働く場です。
受け取るお金はお給料ではなく作業に対する工賃。時給換算すると平均200円程度です。
作業の難易度が低く、能力次第で工賃が決まるので、A型のように不採用になることはほとんどなく、誰でも通えます。
就労継続支援の給料
厚生労働省が発表した平成29年度工賃(賃金)の実績はこのような数値になっています。
就労移行支援の雇用形態・働き方
就労継続支援の仕事内容
A型・B型どちらも、誰にでも出来る簡単な作業がメインです。
文具などの小物の簡単な組み立て、シール貼り、梱包などの内職的な仕事内容になります。
単調な作業が苦手な人には、少し難しくなりますが
- パソコン作業(データ入力など)
- 食品製造
- 縫製(ミシンなど)
- 施設外就労(清掃・接客など)
などの業務ができる就労継続支援もあります。
「障害者雇用」という働き方
「障害者雇用」とは、障害を持つ人が特別枠として一般企業で働くための制度です。
一定規模以上の企業は、全従業員の約2%の障害者雇用を雇用することが法律で定められており、障害者を雇用することで助成金が受け取れます。
つまり企業にとって、障害者雇用を雇用するメリットが大きいのです。
「障害者雇用」で働く場合、「障害でどうしても難しいこと以外は一般社員と同じような労働」が求められますが、一般社員と同じレベルの給与や福利厚生で働けます。
また、企業は障害者を雇い入れる必要があるため、健常者として普通に就職活動をするよりも好条件の企業に採用される確率が高いんです。
障害者雇用の就職・転職先の探し方のポイントは、障害者向けエージェントサイトを利用すること。
- あなたの特性や性格に合う職種・業種選び
- 条件や希望に合う勤務先の紹介
- エントリーシートや面接の指導・調整
- 給与や働き方などの交渉の仲介
といった、就職・転職に関するトータル的なサポートをしてくれます。
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