事務は、障害者雇用で一般就労を目指す人に人気の職種です。
この記事では事務の給料や仕事内容、お仕事の探し方などを解説しています。
障害別:事務職で働く障害者の割合
厚生労働省が発表した「平成 30 年度障害者雇用実態調査結果」にて、障害者雇用で働く人の職種のデータがでてきます。
身体障害者:32.7%(割合1位の職種)
知的障害者:7.5%(5位)
精神障害者:25.0%(サービス業に次いで2位)
発達障害者:29.2%(販売業に次いで2位)
知的障害の人以外は、割合で1~2位。3~4人にひとりは事務職で働いています。
「事務職は人気だから身体の人しか受からない」という話も聞きますが、実際のデータだと精神障害、発達障害の人も高い割合で事務のお仕事に就いています。
知的障害の人は37.8%の生産業が最多で、割合は少ないものの7.5%は事務のお仕事についています。
本人の希望、適正、訓練次第で、事務のお仕事に就くことも可能です。
事務職の給料
国の統計として、障害者雇用の事務職の給料についてのデータは出ていません。
事務の仕事は「ちょっとした雑用係」から「社内のなんでも屋さん」まで、求められるレベルが違うので、給与額に大きな差が出てくるのです。
なので、求人のデータや、実際の声から推測しますね。
まず職歴がなかったり、障害によりできる業務が少ない方は、年収100万円台のパート・アルバイトでの採用がほとんどです。
ある程度お仕事ができる状態で、フルタイムやそれに近い時間でしっかり働く人は年収200~300万円が目安。
年収300万円を超えてくると、ある程度経験があり、人にサポートされなくても業務をしっかりこなせる(ほぼ一般枠と同じ)レベルが必要です。
事務職の仕事内容
仕事内容は「書類・資料の整理」「データ入力」「郵便物の管理」など。
ひとことでいうと「他の社員の仕事をサポートする職種」です。
障害者採用での事務の仕事は、負担軽減のために他の社員より簡単な仕事が割り振られる事が多いです。
事務の種類によっても仕事内容は変わってくるので、詳しくは次をご確認ください。
事務職のメリット
- 体力の消耗が比較的少ない
- 残業や休日出勤が比較的少ない
- 転職しやすい
- 求人数が多いので、地方でも選べる企業が多い
事務職のデメリット
- 倍率が高く、未経験だとなかなか受かりにくい
- 専門職や総合職より給料が低い(障害者雇用だと300万あれば良い方)
- それなりのコミュニケーションスキルが求められることが多い
「事務」にもさまざまな種類がある
ひとことで「事務」と言っても、会社や部署によってさまざまな種類・仕事内容があります。
一般事務・総務事務・庶務
求人も、目指す人も最も多い職種です。
仕事内容は会社によってさまざまで「資料作りや来客対応までなんでもこなすサポート係」だったり「社内で発生した簡単な雑用をこなしてくる人」だったり。
簡単そうに見えますが、行う業務の幅が広く、責任感の強い仕事が回ってくることもあるので、入社前に業務内容についてしっかり確認しておきましょう。
MOSなどのパソコン関係の資格を持っていると有利に仕事しやすいです。
主な仕事内容
- 書類や資料の作成と管理
- データ入力
- 備品の管理や発注
- 会議室や会場などの予約
- 郵便物の管理
- メール、電話や来客の対応
あとはコピーや発送など「これやっといて!」といった雑用を任されがちです。
障害者雇用では、社内での業務のみで電話や来客の対応はしないという配慮を受けて働く人もいます。
経理事務
会社のお金に関することに携わる職種です。
最初は覚えることが多く、細かいお金の管理が大変かも。一般事務よりお給料は少し高め。
一度仕事を覚えてしまえば、イレギュラーな仕事は少なく、決められた業務をこなすことが多いので負担は少ないでしょう。
月初、月末、決算期には残業が発生することもありますが、あまり忙しくはない部署です。
ハイリ
個人的には、計算や数字が得意な人には狙い目の職種だと思っています。
経験者が優遇されがちなので、最初はアルバイト採用で探して、実績をつけてから正社員を目指した方が良いでしょう。
簿記の資格を持っていると有利に仕事しやすいです。
主な仕事内容
- 入出金の管理
- 帳簿や経費の管理
- 請求書の作成
- 給与の管理
- 集金や支払い
営業事務
営業さんのお手伝い(主に社内の業務)を行う部署です。
他の事務所に比べてお給料は高めですが、外部と接する仕事が多く、残業や休日出勤が発生するケースも多いです。
主な仕事内容
- 書類や資料の作成・管理
- 見積書や請求書の作成・管理
- お客さんや取引先との電話やメールでの連絡
- 営業先への同行
法務事務
法務とは、「法律」に関する業務を行う部署です。
法務事務はちょっとした雑用をするだけだったり、法務として難しいお仕事をする場合もあります。
一般企業ではなく、弁護士事務所での事務の仕事を「法務事務」と呼ぶこともありますが、ここでは一般企業の「法務」での事務を指して解説します。
資格は不要ですが、経験者のみの求人が多いので、最初の就職には苦労するかも。法律の知識や資格があると有利に就職できます。
主な仕事内容
- 契約書の作成・管理・確認
- コンプライアンス・社内規定の管理
- 知的財産の管理
- トラブルの処理
- 弁護士とのやり取り
法務には法律関係のトラブル処理の仕事もありますが、障害者雇用に回ってくることは少ないかも。外部と直接関わる仕事は少ない職種です。
人事事務
社内の「人」に携わる業務です。
社内の人とやり取りすることが多いので、コミュニケーションスキルがより求められます。
主な仕事内容
- 勤怠管理
- 採用の応募者への対応
- 社員の入社、退社時の手続き
- 社員の保険の手続き
医療事務
病院や薬局で、医師、看護師、薬剤師さんなどのサポートをするお仕事です。
医療系ですが国家資格が必要な仕事ではないので、資格がなくても働くことは可能です。
ただし、求人には資格持ちからの応募が多いので、ないと採用はなかなか厳しいかも。
「診療報酬請求事務能力認定試験」や「医療事務技能審査試験」などを持っていると有利に就職できます。
一度、資格と経験をつけてしまえば転職もしやすく、一生安定して続けやすい職種です。
病院によっては看護助手としての業務を兼ねている場合もあります。(こちらも資格なしでできる仕事です)
レセプトが忙しい月初に多少の残業が発生することはありますが、基本的には負担の少ない職種。
病院は都市部以外にもたくさんあるので、地方に住んでいても近場で仕事がみつかりやすいのもメリットです。
主な仕事内容
- 受付や電話対応
- レセプト
- 備品や在庫の管理、発注
- 経費の処理
事務職で求められるスキルや資格は?
コミュニケーションスキル
事務職と聞くと、パソコンや書類に向かって黙々と作業しているイメージが多いですが、社内の人とのやり取りが頻繁に発生します。
障害者雇用ではある程度配慮される部分はありますが、ビジネスマナーを基礎とした最低限のコミュニケーション能力や協調性は必須のスキルです。
外部の人とのコミュニケーションについては、障害者雇用では「電話対応なしで」と配慮を求める人が多いですが、可能であれば「電話も来客対応も出来ます!」という人の方が受かりやすいでしょう。
また、業務について話しかけたり、書類や郵便物を届けるのに、人の顔や名前を覚える機会も多いので、苦手な人はあらかじめ伝えておきましょう。
パソコンスキル
事務の仕事はパソコンを使って行うものが多く「基本的なパソコンの操作ができること」はほぼ必須。
基本的なパソコンスキルについての定義は会社によって違いますが、ワードやエクセルをある程度扱えたほうが確実。
パソコンスキルについては別の記事で詳しく解説しています。
仕事の正確さ
障害者雇用で採用された場合、仕事のスピードを強く求められることは少ないです。
ただし「正確さ」については、大切なスキル。
チェックを入念に行い、ミスのないように仕事をするように心がけましょう。
事務で資格
事務に必須の資格はなく、採用の基準は経験重視です。
しかし、応募時に同条件のライバルがいた場合、資格があるとより有利。
事務の仕事で採用に繋がりやすい資格はこのあたりです。
- MOS
- 日商PC検定
- P検
- タイピング技能検定
- ITパスポート
- 日商簿記検定
- TOEIC
- 秘書技能検定
- ビジネス文書検定
- ビジネス・キャリア検定
- 文書情報管理士
- ビジネス会計検定
- 電子会計実務検定
- 給与計算実務能力検定
- 社会保険労務士
未経験で事務職に採用される方法
事務職は人気のある職種なので「ひとつの求人に複数の応募者がいて、会社が人を選ぶ」というケースがほとんど。
特に応募が殺到する、給料が高い求人や正社員の求人は未経験で採用されるのはかなり難しいです。
「未経験OK」と書かれていても、経験者の人が応募してきて、そちらに決まるパターンがほとんど。
ハイリ
未経験で事務職に採用される方法は、まずはアルバイトからステップアップしていくことです。やみくもに正社員、契約社員を応募し続けても、未経験ではなかなか受かりません。
まずは最低賃金に近い時給制のアルバイトの求人でも良いので、とにかく「事務」の仕事を探します。
例えばdodaチャレンジなら職種を事務系、雇用形態を「契約社員」「その他」にチェックを入れたら見つかります。
お金や福利厚生などの条件よりも「働きやすそうな職場か」を重視して探しましょう。
その会社で2~3年働けば『事務経験者』になるので、正社員や好条件の求人でも受かりやすくなります。
ただし、経験者でも倍率は高い職種なので、仕事は辞めずに気長に転職活動を進めていきましょう。
ハイリ
ちなみにもうひとつの方法として「就労移行支援」に行くという方法もあります。ある程度大手の就労移行支援に通っていれば、事務のスキルが身につくし、採用時に事業所の人脈が使えるので、未経験でも月給制の契約社員ぐらいなら見つかりやすくなります。
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