日本では障害者雇用促進法で、一定規模以上の企業は労働者の約2%の人数の障害者を雇用することを義務付けられています。
障害を持つ人はこの『障害者雇用』を利用すれば好条件で就職することができるのですが、障害者雇用で働くにはある一定の時間のルールがあります。
記事の内容を1分で解説
原則週30時間。最低20時間以上の勤務が必要
企業が障害者を雇う時、勤務する時間の長さによって『○人雇用している』とカウントされるルールが定められています。
30時間以上 | 20時間以上 | |
---|---|---|
身体障害者 | 1人分 | 0.5人分 |
身体障害者(重度) | 2人分 | 1人分 |
知的障害者 | 1人分 | 0.5人分 |
知的障害者(重度) | 2人分 | 1人分 |
精神障害者 | 1人分 | 0.5人分 |
アルバイト採用でも週20時間以上・30時間未満の雇用では、重度の身体・知的障害者以外は0.5人分しかカウントされないので、わざわざ採用するのは企業としては効率が悪いのです。
週20時間未満の労働では、障害者雇用としてカウントしないので企業にメリットがありません。
つまりパートやアルバイトでも障害者雇用として採用されるには最低でも週20時間、基本的には30時間以上働くことが必要です。
週20時間未満の障害者雇用もゼロではない
ソフトバンクが2016年に導入したショートタイムワーク制度では、障害を持つ人が週20時間未満の労働で働くことができます。
ただしこれはソフトバンクが企業戦略として独自に行っていることで、企業側にはイメージアップ程度のメリットしかありません。
現在、厚生労働省は週20時間未満の障害者雇用を推進する制度を検討していようですが、現状では週20時間未満での雇用は企業側にメリットがない状況です。
週20時間未満の障害者雇用の求人はゼロではないですが、実際に探す・雇用されるとなると難しいでしょう。
障害者雇用の短時間勤務のスケジュール
障害者雇用でなるべく短時間で勤務したい場合、どのようなスケジュールになるのでしょうか。
週30時間以上の場合
- 週5日・1日6時間
- 週4日・1日7.5時間
週30時間以上で働く場合、ほぼフルタイムに近い時間を働く必要があります。
週20時間以上の場合
- 週5日・1日4時間
- 週4日・1日5時間
- 週3日・1日7時間
週20時間以上であれば無理のないスケジュールで働きやすいですが、週30時間未満の求人は少ないので、探すのは大変になります。
慣れるまでは20時間未満でOKな企業もある
障害者雇用として働き続けるには週20~30時間以上の労働が条件ですが、「慣れるまでの最初の1~2ヶ月は20時間未満の勤務でも良いよ」と言ってくれる企業は多くあります。
ただし「慣れるまで」の特別措置なので、1~2ヶ月後には20~30時間以上働くことが条件です。
いきなり長時間働くことに不安がある人は、面接時に期間を定めて短時間で働き始めることを交渉してみましょう。
なるべく短時間で働ける障害者雇用を探す方法
障害者向けの就職・転職支援サービス(エージェント)での、なるべく短時間(週20~30時間程度)で働ける求人の取り扱い状況を調べてみました。
ランスタッド | かなり少ない(ほぼ無い) |
dodaチャレンジ | 短時間の求人もあるが、フルタイムが中心 |
atGP | 短時間の求人もあるが、フルタイムが中心 |
障害者雇用バンク | 短時間の求人が多く掲載されている |
ちなみに、短時間の求人ならハローワークでも多く掲載されていますが、ネットで企業が運営する支援サービスを使った方がメリットが多いです。
ランスタッドなどのエージェントはフルタイム求人がメインなので、短時間で働きたい人は障害者雇用バンクがおすすめ。
ハローワークで仕事を探すよりも以下のようなメリットがあります。
- 何度も通わなくても、メールや電話で就職相談が出来る
- 採用が決まることで利益が入るので、公的機関よりもサポート体制が強い
- 企業側は採用に費用がかかるので、無料のハローワークに比べて、お金に余裕がある安定した企業の求人が多い。
また、障害者雇用バンクは就労継続支援や就労移行支援などの福祉的就労や訓練への紹介も行っています。
「現状を聞き取った上で、一般企業で働くことは負担が大きい」と判断された場合も、あなたに適した働き方を提案してくれるので、無理なく次のステップに進むことができますね。
カウンセリングは無料登録をするだけで受けられるので、まずは登録してみてください。
週20時間未満で働く方法
働く意思はあるけど、長時間の勤務が難しい場合は障害者雇用ではなく『就労継続支援A型』『就労継続支援B型』『通常のアルバイト』といった働き方があります。
就労継続支援A型
障害を持つ人が雇用契約を結んで働ける施設です。
都道府県で定められた最低時給(時給700~1000円程度)を受け取ることができます。
基本的には週5日・1日4~8時間(週20~40時間)ほど働くことがルールですが、体調不良や通院による欠勤・遅刻・早退に甘い事業所が多いので、実際は週20時間未満で働く人が多くいます。
1日4~5時間でもOKで、作業も座って行う簡単な内職がメイン。
必要に応じてこまめに休憩を取ることも可能です。
「毎日通勤することはできるけど、長時間働くのは体力が厳しい」という方にオススメです。
就労継続支援B型
障害を持つ人が雇用契約を結ばずに、自分のペースで働ける施設です。
受け取るお金は『工賃』なので最低賃金は保証されず、時給換算すると100~200円程度。
収入は少なくなりますが、週1日・2~3時間程度といった通い方も許可されます。
安定して働くことが難しい人にオススメです。
通常のアルバイト
障害が軽度の方であれば障害者雇用を利用せず、健常者としてアルバイトする方法もあり。
通常のアルバイトであれば週20時間以上のルールは関係ないので、週1~2回・1回2~3時間程度の勤務でも問題ありません。
接客業の場合、ピーク時の短時間だけという働き方が歓迎されるケースも。
この場合、障害を告知した上で、基本的に業務に支障はないと言えることが条件です。
また、日本の法律では就職時に障害者であることを告知する義務はないので、障害を隠して働くことも可能です。
ただしその場合は障害に対する配慮はなく、人間関係や告知しなかったことによるトラブルが起きる可能性も高いので、覚悟が必要です。
短時間での雇用が見つかりやすいアルバイト
障害者でも働きやすく、短時間での雇用が見つかりやすいアルバイトの種類はこちら。
- コンビニ(主に朝)
- スーパー(主に朝)
- 飲食店(昼食、夕食のピーク時)
- 清掃
- ポスティング
- チラシやティッシュ配り
- ガールズバー、キャバクラ(主に夜・女性のみ)
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